ベトナムのマンション販売イベントが倒錯的で頭クラクラするわ

apartment ベトナム経済

先日、知り合いのデベロッパーの方にお呼ばれしてマンションの販売イベントに潜入してきました。ハノイの中心部にある高級マンションプロジェクトで、3ベッドルーム(3LDK)で約5000万円と現地の感覚では相当お高い物件になります。ベトナムの販売イベントでは、日本のお上品なそれとは違い演出もハデハデで、煽りに煽って顧客の購買意欲を最大限に引き立てます。今回はその様子をお伝えしたいと思います。※トップ画像はイメージです

とにかくハデに、煽り倒す

訪れた某プロジェクトのイベントは、都心物件ということもあり市内の5つ星ホテルのボールルームを借り切っての開催。郊外の物件ともなると戸数が1000とか2000とかに達するものもあるなか、本物件は200戸弱と比較的小ぶりで来場者も同数くらいですが、そこに各販売代理店のスタッフも同行するため会場は開始前から大賑わいです。

そうこうするうちにイベントが開始。人気司会者が登場し各代理店が盛り上げます。重低音がガンガンに効いた大音量のBGMとともにデベロッパーの紹介映像や物件概要が流され、謎のグループによるダンスも披露されて会場は熱気に包まれていきます。言葉でうまく表せませんが、物件どがーん!照明びかーっ!花火バッシャー!うおおおぉー‼︎ みたいな感じです(語彙力。。)。

そして、お待ちかねのプロモーションタイム。本日この会場に足を運んだ顧客のみ!このイベントの間のみ適用される特別割引の発表です‼︎ と司会者が煽り、大画面にデカデカと「5%」の数字が映し出されます。スペシャルオファーが1%、早期申込が2%、VIP(?)が2%、管理費36ヶ月間無料分が1%と、その内訳はあってないようなもんです。

さらに司会者が盛り上げ、「そしてそして今日はさらに上乗せして、ぜんぶで驚きの6%割引です‼︎」どばーん!うおおおぉー‼︎ 

「それでは申込受付を開始します!みなさんご唱和ください!5!4!3 !2!1!スタートぉぉー!」

それと同時に、販売代理店のスタッフ達が一斉にデベロッパーの社員に駆け寄り、申込書を我先に受け取らんと群がります。そして顧客から申込書の署名と身分証明書を預り、申込受付の窓口は瞬時にいっぱいに。その熱狂ぶりたるや、はたから見てるとバブルとしか思えない様相です。。イベントは大盛況のうちに幕を閉じた模様です。

19倍の抽選に当選したのは…?

上で述べたイベントに先立ち、朝一番には同ホテルの一室で激レア住戸の抽選会がひっそりと行われていました。本物件に7戸しかない最上階のデュープレックス住戸(日本でいうところのメゾネット、2階建てのユニットのこと)のうち、6戸はリピーターなどVIP向けに割り当てられ一般には出てこず、世に出る残り1戸を賭けて19組ものお金持ちが集結。

本編でも活躍した人気司会者がここでも場を巧みに高揚させ、一般会場では表に出て来なかったデベロッパーのCEO自らが19組を前に挨拶を行います。その後、事前には知らされていなかった住戸の面積と価格がこの場で初めて公開。じゃじゃーん!300㎡、2億円‼︎

僕は「高っ!」と思いましたが、価格を聞いて席を立つ者はありません。1年もしないうちに充分な利益を乗せて転売できるのでしょう。もしくはある意味お金には換算できない希少価値が存分に含まれているのかもしれません。郊外の3億4億する戸建てがワンサカ売れるマーケットで、マンションとはいえ2億円など買いやすい部類に入るという人たちのようです。

そして監査法人の社員立会いのもと、CEOによる抽選が実施されます。司会者はここでも充分タメをつくることを忘れません。当選者の大々的な発表とシャンパン開栓、なぜか会場内の全員にシャンパンが配られ、敗れ去った落選者の一部はお土産を手にしたその足で、一般住戸用のイベントへと移って行ったのでした。

当選者は意外にも20代と思しき若い女性で、たったひとりで会場に来ていました。花束を抱えて会場を後にする姿を見ていたのですが、ホテルに横付けされた黒塗りの車の「助手席」に彼女は消えていきました。スモークガラスを設えた後部座席には真の黒幕が鎮座しているのでしょうね。ふんだんにカネがあることを公に知られてはいけない人物が、密かに新たな資産を積み増した瞬間でした。

おわりに

今回のアングラ抽選会は若干特殊ではありましたが、どハデに盛り上げ顧客を煽りに煽る販売スタイルはベトナム津々浦々どこも似たような手法のようです。郷に入っては郷に従えで、日本企業も当地で商売を行う上ではベトナム人の消費性向に合った営業をしていく必要があるのでしょうね。

経済成長と相まって好調を続けるベトナムの不動産市場。ここへきて市場の過熱を懸念した政府主導で不動産市場への総量規制の動きが見えてきており、近いうちに潮目が変わってくる可能性が考えられます。不動産はベトナム経済全体の中でも小さくない部分を占めているので、今後多少の影響は避けられないにしてもなんとかソフトランディングに落ち着いてほしいと願うところです。

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