路上で大量に売られる爆安フルーツの謎~事件は国境で起きてんだ

dragonfruit ベトナム経済

つい先日、ハノイのコロナ新規感染者が1万人/日を突破したと書いたばかりなのに、昨日ついに軽々と2万人を突破。僕の周りでは、これまではごく少人数の人がコロナになってしまっても「アンラッキーだったね」という雰囲気でしたが、ここへきて日本人もベトナム人もまだ罹ってないという人の方が少数派といった情勢になってきました。ベトナム全土で見ても、一日の新規感染者数では韓国に次いで世界2位、一日の死者数では日本、フィリピンに続いて3位とのこと。今のところ街中のレストランなんかは依然営業しているものの、学校はオンラインに戻す動きが加速している様子。どうなることやら…。

今回はそんなコロナ禍の街中にどこからか現れた、ありえないほど安いフルーツの謎に迫ってみたいと思います。

いつからか見かけるようになった爆安フルーツ

ハノイの郊外を走っていると、いつからか道路の脇や空き地にジャックフルーツやスイカなどのフルーツを山のように積んだトラックが停められているのを見かけるようになりました。そのフルーツを荷台から運び出し、路上にずらっと並べて看板を掲げている場合も。

ジャックフルーツ。コロナから復活し久々の娑婆で撮影に成功、記事にすることを決めました

驚くべきはその値段。最初に目に入ってきたのは、どでかいジャックフルーツが1コ2万ドン(100円)と書かれた(ように見えた)看板。あんなにでかいジャックフルーツが1コ100円て!ガソリン代も高騰している中で、トラックで運んできて原価も人件費もかけて、どう考えても儲けが出ているとは考えられない…。彼らはどういう理屈でジャックフルーツを100円で売ってるんだと非常に気になっていました。

スイカ。運転手さんも思わず「これは安い」と唸るお値段

あとから調べてみたら、季節による変動があるため一概にはいえないものの、ジャックフルーツやスイカは通常1kg 15,000ドン(75円)程度が相場とのこと。つい昨日見かけたスイカが1kg 8,000ドンで売られていたので、ほぼほぼ半額で叩き売っていることになります。ジャックフルーツはひと玉10kgくらいということで、↑の1コ100円というのは鼻血の出るような鬼の叩き売りだったか、あるいは僕の見間違いだったかもしれません。

しかし、なぜこんな出血大セールを見かけるようになったのでしょう。そしてそのカラクリは一体何なのでしょうか。。地元紙をナナメ読みしていたら、ヒントとなる記事を見つけました。

原因は中国の絞り込みにあった

目にしたのは「農家絶望、ドラゴンフルーツ価格が500~1,500ドン/kgに落ち込み」という記事。そのなかで、農家の人がドラゴンフルーツを5トン売ってわずか25,000円にしかならなかった、それでも売れただけでもまだいい方で、売れない上にその処分のため人を雇わないといけなかったという悲惨なケースさえあった、と語られていました。彼らの損益分岐点は10,000ドン/kgということで、儲けが出ないとかいうレベルではありません。行き詰まってしまうのは時間の問題といえます。

収穫されたドラゴンフルーツ。中は白くて、薄いキウイみたいな味がします

価格の暴落の原因は、中国への輸出が急に絞られたことによります。昨年末から中国は「ゼロコロナ政策」を厳格に推し進め、ベトナムと中国の国境の通関が大幅に制限されることに。国境付近に集まったトラックはピーク時で5,000台を超え、駐車場はトラックが通路にまではみ出す芋洗い状態。トラックに積まれているのは、ドラゴンフルーツのほか冒頭のジャックフルーツやスイカ、バナナ、海産物、電子部品など。海産物はまだ通関がフルーツほど厳しくなく、電子部品は腐らないのでまだいいとして、フルーツは当然生モノ。

一部のトラックは中国への輸出を諦め、ハノイに戻って輸出価格の6~7割引きで処分をしているということで、僕が郊外で目にしたのはまさにこれだったようです。まさか路肩の叩き売りがコロナから派生した事象だったとは。

中国との国境に溢れかえるトラックの大群

2月中旬には国境で待機するトラックが一向に減らないということで、中国への新規の農産物輸出受付を延期する旨も発表されました。ベトナム政府としても中国に対して制限を緩和するよう働きかけたり、冷蔵倉庫建設などのための資金注入案を検討したりと対策に乗り出してはいるようですが、なかなか早期の解決は難しいように思われます。ましてや冒頭の通り、ハノイは感染が日に日に拡大していっている状況。中国としてもそう簡単に手を緩めるわけにはいかないでしょうね。。

おわりに

単身赴任の身としては10kgのジャックフルーツを買ってあげるわけにもいかず、なかなか農家を助ける手立てが思いつかないのですが、まずはできるところからということでとりあえずウクライナに寄付しました。やらない偽善よりやる偽善。

参考資料・画像引用元

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