ベトナム株投資は有望か?現時点での考えをまとめてみたよ

chart ベトナム経済

ベトナムで暮らし始めてから4年間の帰国を挟んで延べ6年目、遅ればせながらベトナム株投資をゆっくり始めています。前回の赴任の際ベトナムドン預金以外これといった投資をしてこず、その間せっせと投資を重ねてどんどん豊かになっていったベトナム人の友人たちに今からでもなんとか食らいついていこうという思いで少しずつ。

先週末に日本のアイザワ証券のベトナム株投資セミナーがあり、その資料が分かりやすくまとまっていたのでそれらをお借りしながら自分の考えをまとめていこうと思います。無料セミナーとはいえ勝手に載せちゃうので、せめてアイザワ証券さんのリンクを貼っておきます。(個人的にアイザワ証券さんをオススメしているわけでも、していないわけでもありません!)

ちなみに僕自身は、現地の証券会社を使って日本では取り扱っていないETFとREITを買っていますので、日本から投資を行う事情とは多少異なるうえで語っていることをご承知おきください。

まず前提として、リスクを考えてみる

為替

ベトナム株に投資するには、ベトナムドン建てでの取引になります。つまり為替リスクを負うことになるわけですが、個人的には長期の展望は悪くないと思っています。ベトナムは長期にわたって貿易赤字の状態にありドルに対して連動しながらもジリ安を続けてきたのですが、2010年代に入って貿易収支が一気に改善し、2021年には6年連続・過去最高の黒字を計上しています。2020年に入ってついにはドン高へ転じ、一時アメリカから為替操作国の疑いをかけられるなど、今後は徐々にドン高傾向が進んでいくのではと考えています。もちろん、直近の急激な円安ドル高により対円でもドン高は一気に進行してしまったので、足下でのドン投資は日本人にとってはいささか逆風が吹いてしまってはいますね。

出典:UNCTAD
インフレ・金利

「失われた30年」といわれ、ちっともインフレ目標が達成されてこなかった日本。景気回復を伴わない不本意なインフレ2%を今月にも達成してしまいそうな情勢ではありますが、それはちょっと横に置いておきましょう。日本大丈夫かな…。政策金利はマイナス金利が維持され、銀行預金金利はほぼゼロです。一方のベトナム。近年インフレ率は3%前後を維持、今年は国家目標の4%以内に収まるという観測が支配的ですが、来年は5.5%にのぼるとの指摘もあります。また銀行預金は銀行にもよりますがだいたい6%くらいです。以前は7%を超えていました。

出典:IMF(2021~2022年は予測値)

つまり、ベトナム株への投資は年6%を超えるリターンを得られなければ意味がないということになります。近年順調に上がってきてはいたものの、直近では証券市場の信用不安や不動産市場への総量規制の懸念でプラスどころか年初来マイナス付近です。。後ほど詳しくみていきます。

情報の非対称性・流動性

ベトナム株はいまだにインサイダーがすごいと方々から聞いています。有益な情報は一部の関係者が先に掴んでしまい、世に発表される頃にはすっかり上がってしまっている…。また取引量が日本やアメリカのそれと比べて圧倒的に小さいため、上がるときはものすごく上がるし下がるときは真っ逆さまです。FLCも6連続ストップ安からの少し経ってまた4連続ストップ安だったもんな。。ここに関しては僕は当面、個別銘柄ではなく市場全体を買えるようなETFを、短期ではなく長期目線で運用することでリスクヘッジしていきたいと考えています。

資金のベトナム国外への持ち出し

これはベトナム在住者特有のリスクですね。ドンに換えた外貨は銀行でドンから外貨へ戻せない、またそれを国外に持ち出すのがかなり難しいのが現状です。資金が少なければ街の両替所で換金してハンドキャリーで持ち帰ればいいのですが、数万ドル相当になってくると銀行を使わないわけにはいきません。
これについては現時点で確たる打開策がないものの、5年10年すればどこかで解決するんじゃないかと個人的には安易な考えでいます。いざとなったら駐在時代を懐かしみながら、資金持ち出し旅行を定期的に行うかですね。

ベトナム株投資は有望か?

前提がやたら長くなってしまいました。本題です。結論としては有望、と考えておりだからこそ投資を始めています。ここからは冒頭のアイザワ証券さんのスライドをお借りし、抜粋して順番を入れ替えながらみていきます。

GDPが増えると株価は上がる、と言いたいのでしょうが、いきなりイチャモンをつけるとこれだけじゃあわからんでしょう。

そこで数ページ後に登場してきたのがこちらのグラフ。ベトナム含め、たしかにGDPが増えると株価が上下をしながらも連動して上がっています。人口が増えるとGDPが増える、GDPが増えると株価が上がる、と考えるとベトナムの成長はわりとカタいのかなとは思えてきます。連動している国だけを抜き出しているかもしれないし、同じ理屈ならインドやインドネシアの株も有望ということになりますが、そこはどうなんでしょうね。

この20年でGDPが約9倍、ひとり当たりGDPは約7倍、輸出額はなんと17倍!数字で見ると改めて驚異的です。この伸びがいつまでも続くとは考えにくいものの、この数年で勢いが止まるという気配も今のところ感じられません。

若干逸れますが、ベトナムを表すデータとして面白いと思ったので載せておきます。ベトナムの経済成長は外資が主導していることを示すデータです。ベトナム企業の成長を上回って外資がさらに勢力を伸ばしています。がんばれベトナム企業。

さてアジア各国と比較した株価の推移です。コロナが深刻化する2020年比でベトナム株は他を圧倒的にアウトパフォームしています。インドより好調だとは知りませんでした。ここまで上がったら既に割高になっちゃってるんじゃないの、という指摘に対する回答がこちら。

PERで比較するとまだまだ割安ですよ、というデータ。レクチャーいただいたアナリストによると、企業の利益が順調に増えているのでPERの観点でいうと現在1400ポイント付近にあるVN指数が2000まで上がっても決しておかしくはないとのこと。高配当銘柄が目立つベトナムにしては、市場全体の配当利回りが大して高くないのが意外でした。インフレ率や金利水準を考えると、全体としてはキャピタルゲインが必要なマーケットだということがわかります。

これはなかなか説得力のあるデータです。PERが実績値で示されているためそこまで割安感がないですが、予想利益に対するPERでいうと先の13倍程度ということになります。それを考慮すると、たしかにまだまだ上値の余地は十分にあるように思えます。

最後にヒストリカルな株価推移はこちら。当然ながら年率プラス6%はヨユーです。ただし説明の通り流動性が低く変動が大きいため、それをうまくかわしながら運用していく道を考えなければいけませんね。ちなみに、2006年の株価高騰は日本人投資家がこぞってベトナム株に流入した時期であり、日本人がこのバブルを引き起こしたという解説がなされていました。

補足として、現在ベトナム人の証券保有率は人口の5%、ここのところ毎月20万口座が増えている(=+0.2%/月)ということで、株式への資金の流入増は必然だと考えています。実際、1日の取引額は1700億円を超え、株式市場の取引規模はシンガポールを抜いてタイに次ぐ東南アジア2位の位置にまで早くも上がってきています。

おわりに

ということで、ベトナム株が有望であるということについてはある程度は見通せたかなと思っています。近年日本人の中でもすっかり市民権を獲得しつつある米国株や他の投資対象と比べて過度に深入りするほどの確信を持つまでではないにしろ、ベトナムには個人的に愛着もありますし、無理のない距離感でしばらく付き合っていけたらと考えています。足元ではやはり不穏な空気が漂っている感もあるのでその点においても慎重に…。

参考資料

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