【1杯5000円…】ハノイの大人気フォー店「フォー・ティン」が最近商魂たくましすぎ

Pho bowl ベトナム経済

みなさん、フォー・ティン(Phở Thìn)というフォー屋さんをご存じでしょうか?フォーにしてはこってりとしたスープと丼一面に広がる大量のネギが特徴の、ハノイ旧市街にある老舗フォー屋さんです。ハノイに来たことがある人なら1回は食べたことがあるはず、まだの人はぜひともお試しあれ。個人的にはハノイはもちろんベトナム No.1フォーだと思っています。昔ホーチミンに駐在していたときも、ハノイに出張に来た際には必ずわざわざ食べにきていましたし、現在も日本から出張者が来た際には必ず連れて行く先です。オフィスからも歩いていける距離にあるので、今でもひとりでときどき行っています。

ちなみに個人的なホーチミンNo.1フォーはPhở Lệ。テーブルにこれでもかというほど山積みにされたもやしを茹でてきてもらうのが通です。

さてこのフォー・ティン、長らくハノイの本店だけでひっそりと営業していましたが、近年になってやたらと商魂たくましく立ち回る姿が目立ってきました。今回はそんなフォー・ティンの動きを見ていきたいと思います。味のレビューや営業時間、お店の雰囲気などの記事は世の中にたくさん出ているので、そこについては触れません。

創業秘話と近年の多店舗展開

フォー・ティンの創業は1979年、43年の歴史を誇ります。店主のティンさん(Nguyễn Trọng Thìn)は今年で御年70歳のでぇベテランです。芸術大学の出で、フォー屋を始める前はテレビ局などに務めていましたが、一念発起して脱サラ。このとき奥さんからは愛想を尽かされて出て行かれています。

フォー屋を始めたのは、家の隣にフォー屋が大行列をつくっていたから。独特なダシを開発できた背景には、元画家としての繊細さが活かされたといいます。隣のフォー屋にいた客は次第にティンさんの店に並ぶようになり、お隣さんはやがて違う場所に引っ越していったそうです。

創業者のティンさん

転機が訪れたのは2018年2月。出張で訪れたハノイでフォー・ティンに出会いその味に感銘を受けた日本人の「すみけん」氏がティンさんを突撃。これまで数々の出店オファーを断っていたなか、その熱意に根負けする形でフォー・ティン2号店を東京に出すことが決まります。2019年3月には池袋店が、2021年3月には新宿店がそれぞれオープンしています。オープン日には多くの日本人や日本在住のベトナム人が訪れ、20分で完売したとのこと。

これと時を同じくして、韓国でも店舗展開を開始。2019年にソウル1号店をオープンして以降またたく間にその店舗は韓国全土に広がり、1年後の2020年には13店舗目がオープンするに至っています。これは遡ること2009年にティンさんが韓国でフォーの調理法を指導したことがその背景にあったようです。さらには同じ2019年9月にオーストラリアのメルボルンにも出店。同年末にはインドネシアのバリ店まで。

バリのタモラスクエアというショッピングセンターにあるフォー・ティン。1杯650円くらい(開店当時)

さらにさらに。これまで海外だけではなく国内にも支店がなかったフォー・ティンですが、同時に国内の展開も始めていきます。池袋店がオープンした直後の2019年5月に早くもハノイ2号店となるHoàng Ngọc Thạchが開店。2019年、激動過ぎです。。

清潔感満載のハノイ2号店

その後も勢いは止まらず、ハノイ中はもちろんのことハイフォン、ハイズオン、タインホア、フンイェン、そして南のホーチミンにも上陸してきています。ハノイの本店はフォー1種類しかありませんが支店のほうは色々とメニューがあるというのと、本店とは違いお店の中も非常に清潔感があるということで、本店ファンの僕としてはせっかくの古き良き感じがどんどん失われていくように感じられて残念です。。韓国や日本では家庭用のセットも販売するなど、本丸がどこまで関与しているのかはわかりませんが、なんだかずいぶんと商売上手になってしまった感があります。

僕の知ってるフォー・ティンとちゃう。

ハノイの本店は毎年のように値上げが続く

よく通っているハノイの本店は、メニューも1種類しかなくメニュー表もないので、値段の変更は超簡単にできます。実際行く度に値段が変わっています(基本的には右肩上がり)。2017年末頃までは1杯50,000ドン(300円弱)だったのが、2019年には60,000ドン、2020年には65,000ドン、2021年には70,000ドンときて、今年1月には90,000ドンと値上げが続き、一般的なフォーの相場の3倍にまで上がってしまいました。フォー・ティン側は原材料の高騰を理由としていますが、ベトナム人だけでなく僕ですら500円だと思うと以前よりおいしくなくなったような感じがしてしまいました。今年の値上げに対しては、批判的なニュース記事もいくつか挙がっています。

ハノイ本店の正面。このどローカルな感じも含めて好き

さすがにやりすぎだったと認識したのか、旧正月明けには80,000ドンへと戻したものの、それでも客足は戻らず。2022年5月現在では70,000ドンにまで下がっています。現在は客の入りはまずまずのようです。

1杯5000円のフォーを監修

フォー・ティンの拡大は店舗展開だけではありません。ティンさんは天下のビングループとも提携を始めています。ビングループのトップでありベトナム一の大富豪でもあるブオン会長から直々に依頼を受け、同社が運営するホテル「ビンパール」で、フォーのつくり方を指導しているそうです。

極めつけはこちら。ホーチミンのVinhomes Central Park内にある、ベトナムで一番の高さを誇る81階建てのLandmark 81。その中に入居しているホテルVinpearl Luxuryの66階のレストランで出されるフォーの監修も手がけています。そのお値段、一杯なんと92万ドン。昨今の円安もあり、現在のレートだと5000円オーバーのお品となります。これは…高いを通り越してもうようわからん。Wagyu Beefとオーストラリアの牛テールを使っているとのこと。

こう見るとまじで美味そうだけど、一般客が撮ったやつだとフツ~のフォーでした

ちなみに、ネットなどにアップされているベトナム人のレビューを総合すると「肉は美味いがフォーは普通」のようです。ティンさん、あかんやん…。

おわりに

人気になる→値上がりする→多店舗展開する→監修・商品化する。ここまでくるとどうしても、→味が落ちる、を想像してしまいます。こうなっていってしまうのは、残念ながらある程度は人気店の宿命なんですかね…。今回はフォー・ティンを愛するがゆえの、辛辣な記事になってしまいました。どれだけ店舗が多くなっていっても、せめて本店は汚いままで、1種類だけのフォーでこれからもがんばっていってほしいと願うばかりです。

参考資料・画像引用元

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