【追悼】安倍元首相銃撃に対するベトナムの反応

Prime minister ベトナムの政治

蓋を開けてみれば、参院選は自民党の圧勝でしたね。野党が弱すぎという感は否めませんが、自民躍進の影にはやはり安倍元首相の一件も少なからず影響したと考えずにはいられません。

安倍元首相銃撃事件はここベトナムにおいても直後から大きく報道されました。僕自身は社外の人たちのアテンドをしていてリアルタイムでは把握しておらず、第一報を知らせてくれたのはベトナム人の友人でした。そういえば、アテンドの大先輩ガーシー先生もおめでとうございます。こちらもなかなかセンセーショナルですね。

今回は、ベトナムにおける本事件の反応を紹介していきたいと思います。そこでは日本人が思う以上に、安倍元首相がベトナム人から愛されていたことが垣間見えてきました。

なぜ安倍晋三さんはベトナム人に愛されているのですか? -写真1。
安倍元首相とグエン・フー・チョン書記長(2015年)

ベトナムでも大きく報道され、今なお続く

僕がアテンドを終えオフィスに戻ってきたら、オフィスにいたベトナム人のメンバーたちは皆すでに、2時間ほど前に起きた事件のことをよく知っていました。犯人の名前や銃撃の様子を伝える映像も報道されており、情報の鮮度はこちらが日本語で把握できるそれと大差ないものでした。

その後連日にわたり、事件の続報は次々と発せられていきました。現場にいたSPの初動の遅さや警備体制の不備などがアメリカの事例と比較される形で解説されたり、銃の所有が極めて難しい日本においてなお発生した本事件の特性であったりが週末にかけて次々と報道されていました。事件から数日経った今なお、葬儀の様子や犯人の犯行動機、その裏にある宗教団体の存在などが言及されています。

ちなみに、僕が昨年ダナンのビーチリゾートに遊びに行った際、ベトナムの元首相であり現国家主席のグエン・スアン・フック氏にそこで遭遇したことがあります。泊まっていたヴィラ(コテージのような一戸建てタイプの部屋)の真向かいがフック国家主席の泊まっていたヴィラで、お付きに囲まれながら普通に部屋から出て朝食に出かける様子を普通にベランダから見下ろすことができました。前日、周囲がにわかに物々しい様子を見てホテルの従業員に尋ねたら、「フックさんが泊まってるよ」と嬉しそうに答えてくれるという始末。「セキュリティゆるゆるじゃねえかよ」と呆れたものですが、まさか日本でこんな事件が起こるとは。。

大統領:ベトナムは、故安倍晋三首相の感情を常に念頭に置いている-写真3。
ハノイの日本大使館にて弔問記帳を行うグエン・スアン・フック国家主席

ベトナム人からの愛されぶりがすごい

驚いたのは、報道だけでなくそれに対するベトナムの人たちの反応が予想以上に大きかったことです。複数のベトナム人の友人たちがFacebook上で安倍元首相に対して追悼の意を表し、僕にいち早く事件の存在を知らせてくれたホーチミンの友人(離れてるのでたまにしか会わない)はその後も「彼は偉大な人だった」「自分も含めて多くのベトナム人が彼の訃報を聞いて悲しんでいると思う」とメッセージを送り続けてきたのでした。また、連日の報道には数々のコメントが寄せられており、実際多くのベトナム人が今回の事件に悲しみを抱いていることが伺えます。当然、ベトナムの各首脳や指導者たちからも追悼の表明がなされています。

ベトナム人は安倍さんの愛情を刻みます-写真2。
ハノイの日本大使館に並び哀悼の意を捧げるベトナム人たち

事件の翌日には、「なぜ安倍晋三氏はベトナム人に愛されるのか」という記事が出ていました。第2次安倍内閣発足時に最初に国外へ訪問したのがベトナムであること(知らんかった)や、安倍元首相が2017年にベトナムを公式訪問した際の「ホン河(紅河)が東京湾につながるのを止めるものは何もない」という発言が、多くのベトナム人の心に触れたことなどを紹介しています。最近では菅元首相が最初に訪問した国としてベトナムを選んだことが話題になりましたね。また別の記事では「安倍晋三氏がベトナム人に愛される5つの理由」として「優しい笑顔」「輝き」「誠実さ」「寛容さ」「ベトナムへのビジョン」の5点を挙げています。

実際、安倍元首相のベトナムへの貢献は大きいものでした。第2次安倍内閣の2014年には二国間関係を「アジアにおける平和と繁栄のための広範な戦略的パートナーシップ」に格上げ。日本をベトナムにとってODA(政府開発援助)の最大の援助国、FDI(海外直接投資)の累計で2番目に大きな投資国、3番目に大きな観光パートナー、4番目に大きな貿易国へと押し上げました。合計9年近くにもわたって日本の顔であり続けたわけで、現代のベトナム人において「ベトナムに支援的な国・日本の国家元首=安倍晋三」というイメージが出来上がっているのだと思います。

安倍首相とベトナムとの特別な運命の関係-写真2。
上記共同声明に署名した際の安倍元首相とチュオン・タン・サン国家主席(当時)(2014年)

おわりに

ベトナムに暮らしていると、ベトナム人の日本愛に助けられていると感じることがよくあります。多くの人が日本への愛着や憧れを進んで口に出し、近年の経済援助に対する感謝の意を耳にすることもままあります。日本人だからという理由で我々の言動は比較的肯定的に受け止められ、仕事をする上でも都合が良い場面も多々あったりします。

ベトナムが日本に良いイメージを抱いてくれているのは当地で奮闘された先人の貢献の賜物だと思いますが、長年にわたって国家レベルでベトナムと友好的な関係を築き上げてきた安倍元首相の存在はやはり大きかったな、と改めて思うところです。

安倍首相とベトナムとの特別な運命の関係-写真1。
APECサミットウィークでの安倍元首相とグエン・スアン・フック首相(当時)(2017年)

参考資料・画像引用元

にほんブログ村 海外生活ブログ ベトナム情報へ
↑クリックいただけると喜びます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました