ベトナムの大学受験がけっこう柔軟で面白いから紹介するよ(でもころころ変わるよ)

university ベトナム経済

去る3月27日に、ベトナム国立大学ホーチミン校主催の「能力評価試験」が大々的に行われたというニュースが出ていました。能力評価試験?なんじゃらほい?ということで、ベトナムの大学受験事情をさくっと調べてみましたよ。なんでもベトナムの大学受験ルールはけっこうちょくちょく変わるようで(過去のプロセス調べてみたらたしかに違った、し何度も変わってる)、最初に目に飛び込んできたニュースだけでもけっこう丁寧に書かれていたので、学生のみなさんはいちいち対応するのにさぞ大変だろうなぁ…。と思いきや、最新のものはずいぶんとフレキシブルなシステムになっているようでもあります。逆に言うとけっこう緻密な戦略が必要なのかも…?

なお当方、一貫教育校だったため大学受験しておらず、日本の大学受験事情がよくわかっておりません。日本の事情との比較がおそろしくテキトーになることを予めご承知おきください。(とりあえず『二月の勝者』の最初のほうだけ読んでわかったつもりになってみる)欧米の大学事情にも明るくないのであしからず。基本ベトナムに割り切って進んでいきますよ。

まずは基本的なところから

本題に入る前に、まずはベトナムの教育における概況を押さえておきましょう。泣く子も黙る、JETROさんの資料を大胆にもまるっとお借りしてまいりました。

ベトナムは識字率が96%とわりかし高いです。世界平均は同年比較で86%。これはフランス植民地時代に国語表記をアルファベットに変えたことが大きいですね。文化的な賛否はありますが数字に顕著に表れています。そして肝心の大学の部分ですが、現状の人口構成からすると大卒者は全体の2割弱ということで、大卒者はかなりのエリートさんということになります。現在の大学進学率は28%。タイの43%、マレーシアの48%、日本の54%と比べるとだいぶまだまだといったところです。

学年度は9月から翌5月まで。2005年の教育法改正で義務教育期間が小学校から中学校までの9年間に、2019年の改正ではさらに就学前の5歳児教育が加わり計10年間となりました。直近の改正はなかなか興味深いですね。

ベトナムの大学の実力やいかに?

進学率28%の国の大学が好位置につけているワケがないのですが、単なる興味本位でベトナムの大学が世界でどんなポジションにいるのか寄り道してみました。RANKING WEB OF UNIVERSITIESというサイトからお借りしてきたのですが、採点基準が「大学のWebサイトのランキングではない」ということ以外はよくわかりませんでした。

まずは世界ランク。

予想通り、ほとんどがアメリカ。申し訳程度にイギリスの大学がランクイン。ちなみに僕の母校は13位です。嘘です。次にアジア。

噂には聞いていましたが、香港を含む中国勢が圧倒的です。東大はシンガポールにも負けている…!意地の東大京大ランクインといった日本人には苦々しい結果です。最後にベトナム。

ベトナム国立大学ハノイ校が辛うじて1000位以内にランクイン。冒頭のベトナム国立大学ホーチミン校はいずこへ…?(別のランキングではトップ圏に入っていました)

大半がハノイかホーチミンの大学です。大学生が地方からわんさか上京してくるのも納得です。

で、大学受験事情

ようやく本題です。JETROの同資料では、

高校卒業には全国統一実施の高校卒業試験に合格しなければならない。これは公立および私立の大学入試を兼ねている。 ~中略~ 大学入試では、受験科目により3科目(受験大学/学科により異なる)を組み合わせた得点に高校3年次の成績などを加点、各大学が設定する基準点を超えると合格。

とあります。全国統一の卒業試験で大学の合否を決めるというのはなかなか合理的ですね。僕みたいに高三で数ⅢCの単位落としてる場合じゃない。。そのほか最近のニュースによると、これとは別に2月から8月にかけて大学が個々に入試を行っており、学生は下に述べる能力評価試験も加えたいろんな評価方式のうち最も結果の良いものを自分の成績にすればよいということのようです。ベトナム全国240を超える大学・アカデミー側も、どの評価方式で合格者を配分するかそれぞれ違っています。内申点がいい生徒をたくさん採る大学とか、卒業試験がよかった生徒を多く採る大学とか。

そして冒頭の「能力評価試験」。2018年に新しく始まった制度で、ベトナム国立大学(ハノイ校・ホーチミン校)、ハノイ工科大学、ハノイ教育大学の4校が主催しています。既に国内240超の大学等のうち、70%がこの能力評価試験の合格枠を取り入れています。どの大学主催の能力評価試験を選択するかは個々の大学次第で、ベトナム国立大学ホーチミン校の試験を採用する大学が84校、ハノイ校のものを50校、ハノイ工科大学のを15校が取り入れています(ハノイ教育大学のは不明)。この新制度の背景には、高校卒業試験が比較的簡単で、トップ校を目指す生徒間の点差がつきにくいことにあるようです。

ベトナム国立大学ホーチミン校の能力評価試験のようす

先日行われたホーチミン校の試験を例にとると、試験日は3月27日、結果発表は4月5日。コロナで受験できなかった生徒は5月22日に2次試験が受けられます。ここでいい成績が取れてしまえば、大学受験はイチ抜けであとは卒業試験を落第しない程度の点で乗り切ればよい、ということになります。8月には後期試験もあります。

この能力評価試験は高校3年間の学習内容からまんべんなく出題されるので、後期試験や卒業試験の前準備としても役立つという学生のコメントが記載されていました。そんなこともあり、2018年は5000人で始まった出願数が、2020年は6万2000人、2021年は6万8000人、2022年は8万2000人にまで成長。うち7万9000人以上が実際に受験し、受験率は96%。17の市と省約80か所で実施され、試験会場は前年比で3倍増。ここ数年、高校卒業試験受験者のうち70%が受験するという一大ムーブメントが巻き起こっています。

なお、試験時間は合計150分。選択問題式で言語(ベトナム語・英語)が40問、数学・論理的思考・情報分析が30問、問題解決が50問。1200点満点で、トップ大学合格の目安が800~1000点以上、トップアカデミーで600~700点が目安とのこと。

↑のように、主催する大学により実施回数や開催場所の数、出願料や試験日程のほか、一部の試験には記述式の問題があるなどかなりの違いがあります(カメラ翻訳、こういうときホント便利ネ)。まずは北か南かというところから入ると思いますが、どれを受けるか、もっといえばどの評価方式を狙っていくのかを学生は吟味していくことになります。この試験は今年の改正ポイントとして何回受けてもよいということで、いちばん上のハノイ校の試験なんかはその気になれば16回受けることもできてしまいます。その分ハードルも上がっちゃうんでしょうけど。7割の学生がとりあえず受ける、というのも頷ける制度ですね。

おわりに

大学を卒業して社会の荒波に10余年揉まれてきた身としては、ちょっとチャンス多すぎなんじゃないのと思わないこともないのですが、これも時代ですかね。まあ受験でなくても学生生活には無慈悲な一発勝負もたくさんあるでしょうし、実際そういう経験を積んでいくつか失敗もしてみないと将来もっと大きな壁にぶち当たることにはなるよなと思いつつも、一生を大きく左右してしまう大学選びくらいは日々の着実な努力が確実に実を結ぶほうが健全なのかもしれないですね。ともあれ、ガンバレ受験生!(あ、結局日本の大学受験との比較とかいっさいしてない。)

ハノイの合格祈願は文廟へ

参考資料・画像引用元

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