社会が豊かになっても、未だに物乞いや路上詐欺は存在する。対処には要注意

begging 駐在・出張・生活

おととい、ハノイの街中で久々に詐欺に遭いそうになったので、今回はその辺の話をしていきたいと思います。ベトナムが近年急速に経済発展を遂げ人々が豊かになっている一方で、かつ日本人がよく集まる場所でも未だに行われていることが判明したその情報共有も兼ねて。あわせて、今日ではかなりその数を減らしてきた物乞いに対しても、やすやすと対応してはいけないのでご注意を(こっちが本日の本題です)。

昼下がりの謎の募金青年

日曜日の昼ごろ、日本人も多く住んでいる西湖(ホータイ)エリアで車を待っていたら、日本人の後についていた身なりの良いベトナム人に笑顔で会釈をされました。すごく愛想が良い感じで「あれ、知り合いだったかな…マズイ誰だか思い出せない」と焦っていたら「ワタシ、日本語の先生」と言われ、結局全然知らない人でした。

「あの日本人、千葉のトモダチ」と言いながら世間話を仕掛けてくる間にくだんのトモダチは視界から消え去ろうとしており、「トモダチ行っちゃうよ?」と注意してあげるも意にも介さず、カバンから大事そうにラミネートされたメモを取り出してきます。そこには、およそ日本語の先生とは思えない、ベトナム語→日本語のGoogle翻訳を2回りくらいひどくした感じの日本語が汚い字で並べられていました。どうやら盲目の方など障がい者のための寄付を募っているようです。世間話では調子がよかったくせに、寄付の内容やその必要性については一切の説明もせず、おもむろに「じゃあコレにサインください」とノートを取り出して名前と寄付金額を記入させようとしてきます。「じゃあ」じゃねえよと思いながらこの頃にはもう付き合う気も失せ、「いや、大丈夫です」と軽く断った途端、それまでニコニコしていた彼の顔から急に表情がなくなり、一言も発さずにその場を去っていきました。その表情は「無表情」としか形容できない、文字通り何の感情も表していない顔つきでした。こんなにも人は急に、完全なる無表情になれるのかと今思うと軽くホラーです。

一連の行動と意外な結末を目のあたりして、僕は彼の行為を詐欺だと断定しました。支援団体にちゃんと雇われてやっているならもう少し愛想よく帰っていくでしょうし、使命感に燃えて自ら募金活動をしているのならもっと切迫感を訴えながら食い下がるでしょう。この日はたまたま調子が悪かったのか、ちゃんとは見ていませんがノートにはそれなりの数の名前と金額が記載されていました。彼の調子次第(?)では熱烈な勧誘に負けてうっかり支払ってしまう人もいるかもしれません。

この記事によると、ベトナムでの街頭募金は禁止とのこと。他でウラがとれなかったので確たることは言えないものの、少なくともそのような事態に直面した時は慎重に行動するようにしましょう。ちなみに、日本では「こじき」行為は軽犯罪法違反となり処罰の対象となります。知らんかったで。。

ベトナムは物乞いが少ないが…

インドや他の東南アジアの国と比べて、ベトナムに暮らしていると物乞いが圧倒的に少なく感じます。インドはどの街に行っても必ず物乞いに付きまとわられるし、バンコクでは都市鉄道の駅前にはだいたい物乞いが乗降客を待ちかまえています。とはいえ、ベトナムにも少ないながら物乞いはまだまだいることはいます。

ベトナムは社会主義国ということもあってか、失業率は世界的に見てもかなり低く、2020年現在で2.3%と相当な低水準にあります。お金を求めて屋台やオープンカフェに寄ってくる人たちも、売っているものがホンモノか、質が良いか実用的かは別として何かしらの商品を「売りにきている」人がほとんどです。路上で火を噴く少年だったり、目の不自由な人でも車いすに乗りながら歌を聞かせて回ったりと、大半の人がサービスへの対価を求める「経済活動」をしていると言えます(こういった人たちが失業者とカウントされていないかどうかまではわかりませんが。。)。よく見かける公営の宝くじ売りも、それを調達するお金がない人でも料率は悪くなるものの売る宝くじを「前借り」できる制度があると聞いたことがあります。

構造的に無職になりにくい社会制度になっていることに加え、政府は物乞いの根絶に力を入れているという背景もあります。物乞いや浮浪者は公的な機関に収容されることになっており、ダナンやニャチャンなどの都市では、物乞いの存在を通報すると約500円から1000円の報奨金をもらえる制度もあるようです。そのような政府の努力もあり、1980年代には1万人以上いた物乞いが、2015年には300~500人にまで減っているとの報道もあります。さすがにそんなに少ないことはないと思うが。。

先日、会社の同僚とローカル店で鍋をつついていたところ、珍しく物乞いが現れたのでついついお金を恵んでしまいました。アジアの国々で性懲りもなく物乞いにお金をあげては「もっとよこせ」と言われて後味の悪い思いを散々してきた僕にとって、100円そこらをあげただけでおとなしく去っていき、しかも一応「ありがとう」と言われたことでなんとも行儀のよい物乞いさんだったな、くらいに思っていました。しかし一緒にいた、普段温厚なベトナム人の同僚が珍しく怒っており、曰く「あんなにしつこい物乞いは見たことがない」「持っているカゴで人をつつくなんて、ベトナム人には絶対やらないのに外国人だからつけ上がっている」「物乞いを追い出さない店もどうかしている」と。完全に余談ながら、ものの感じようは人によってずいぶんと違うもんだなと考えさせられました。

街頭募金が禁止されているということは、物乞いへの喜捨も当然ながら禁止事項でしょう。物乞いの通報制度が確認できなかった都市においても、物乞いに直接お金を手渡すことは避けるよう当局より呼びかけが行われています。物乞いは反社会的勢力のビジネスの一部であるというのも半ば定説になっており(気になる方は「レンタルチャイルド」とググってみてください)、仮に組織立っていなかったとしても、子どもが親から虐待されながら物乞いを強要されていることが発覚し事件化するケースも見受けられます。

おわりに

お金を恵んであげることが根本的な解決にはならないこと、そのお金が正しい道に使われる可能性が低いことを頭では理解しておきながら、これまで割と無邪気に小銭を渡してしまっていました。心情的には自分の目の前にいるその人にとって少しでも助けになったらという気持ちが抜けないわけではないのですが、やっぱりよろしくないことなのかなと今回まとめてみて感じました(全然まとまってないけど)。

代わりと言ってはなんですが、そういえば社会人になった年から継続してアフリカの貧困地域の子どもをちょびっと支援していることを思い出したのでこちらに貼っておきます。クレジットカードで毎月自動的に引き落とされて、年末には寄付金控除も適用されるので使い勝手はよいです。ベトナムでは北部の少数民族が暮らす地域の子どもを支援しているようです。みなさんが支援を開始しても僕には1円も入ってこないしなんならベトナム在住なので寄付金控除も受けられないんですが、ともあれ賛同者が現れてくれればそれはシンプルに嬉しいことです。

勝手にまるっとスクショしちゃったけど、啓蒙活動だと思って許してくれい

参考資料・画像引用元

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