ここ1~2週間の、ベトナムのコロナ感染のペースが尋常ではありません。2月8日にはじめて一日2万人の新規感染者を出した後、ついに昨日は9万人を突破してしまいました。ハノイの新規感染者も2月中旬までは一日3,000人くらいでしばらく推移していたのが急激に増加を始め、2月26日には1万人を超えてきました。僕の周りでもベトナム人・日本人にかかわらず、これまでとは比べものにならないくらい本当に多くの方が感染しています。
かくいう僕自身も、先週月曜に陽性判定を喰らいました。味覚障害以外は一通り症状のフルコースを味わい、1週間経ってようやく症状も収まってきたため、自宅隔離解禁を賭けて再度PCR検査を実施。しかし、まさかの陰性ならず!同じタイミングでかかった同僚は無事陰性になったのに…。再度の陽性判定を聞いた辺りから心なしかまた体調が悪くなり始め、数日ぶりに薬を飲んでいます。僕は暗示にかかりやすく、体温計で熱が出たのがわかってしまうと余計に体調を悪くするので体温計を持っていないほどなのですが、今回もしっかり暗示にかかってしまいました。。
…ということで、最近はずっと家にこもってウクライナ情勢のニュースばかり観ています。
表立ってロシア・プーチン批判をしないベトナム人
ウクライナ、ここまで大方の予想に反して主要都市のロシアによる制圧をなんとか阻止し、侵攻から4日経った今でも首都キエフを死守しています。愛国心を胸に大健闘を見せているウクライナ軍の兵士たちに、ベトナムの人たちは何を思うでしょうか。甚大な犠牲を出しながらも、民族の独立を賭けて侵略者を迎え撃った戦争の記憶がそう遠い昔ではないベトナム。当時の自らの姿に重ね合わせる年配の方も少なからずいらっしゃることでしょう。ベトナムでもウクライナの情勢は毎日報道されており、ネット上では平和を願うコメントが多く寄せられています。
日本のそれと違うなと思うのが、みんな戦争反対の意思は表明しているものの、ベトナムと良好な関係を築いているロシアやその元首を表立って批判していない点です。ベトナムとロシアは2001年に戦略的パートナーシップ協定を、2012年にはさらに包括的戦略的パートナーシップを構築しています。なんとなく報道記事そのものも、日本のものと比べるとだいぶ中立的に書かれている印象です。
ロシアのウクライナ侵攻によるベトナム経済への影響
そんななか、ロシアのウクライナ侵攻によるベトナム経済への影響について解説している記事がちょうど出ていたのでご紹介します。2月28日にVNDIRECT証券傘下の調査チームが出したレポートが元になっています。
曰く、今般のウクライナ侵攻によるベトナム経済への直接的な影響は大きくはない、とのこと。ロシアとウクライナとの貿易額は、ベトナムの総貿易額のわずか0.9%(2021年実績で輸出額の1.1%、輸入額の0.8%)であり、また外国直接投資においても両国の存在は大きいものではないということです。ロシアと「包括的戦略的パートナーシップ」を締結している割には確かに意外過ぎる数字です。
石油・ガス価格の高止まりによるインフレ圧力が懸念されるものの、それでも同レポートでは2022年のベトナムのインフレ率は、国会が目標に定める4%以下を達成する数字である3.4%程度に調整されると見ています。ベトナム政府も低金利の継続、今年はじめに承認された景気刺激策により景気回復を支えていくとのこと。
また、ロシアはNPK(窒素・リン酸・カリウム)肥料の一大輸出国であり、同国の輸出規制によりベトナム国内の窒素肥料メーカーが価格上昇と需要増大の恩恵を受けるとしています。あわせて、EU圏においてロシアとウクライナは鉄の輸出面でそれぞれ第2位・第4位であり、両国の輸出減(ロシアは制裁、ウクライナは物流網の混乱による減産)によりベトナムの鉄鋼会社にそのシェアを伸ばす機会が到来すると指摘されています。
これらを追い風にベトナム経済と上場企業は回復、成長を加速していくことで2022年の株式市場は明るいものになると結んでいます。ずいぶん呑気な見通しですが、ほんまかいな。
他にも記事を探していたら、数時間前になんと日本語でまったく同じ趣旨の記事が出ていました。先にこっちを見つけていればよかった。。着眼点としてはほぼ同じですが、こちらはより影響が大きいという結論。インフレ懸念に加えて、物流コスト上昇に伴い縫製品や水産品などの輸出企業が打撃を被ると書かれています。
さいごに
「世界史上に残る重大事件」とも言われる今回のウクライナ侵攻。令和の時代になってもこんなムチャクチャな論理で戦争をおっ始める国(しかも安保理常任理事国)があるんだと思うと、日頃ベトナムのパートナー会社が多少ムチャクチャなことを言ってきてもそりゃそうだよなと納得してしまいそうです。それぞれいろんな思惑が絡み合って今の事態に発展しているわけですが、人間の持つ良心をもってなんとか最悪の事態を避け、ウクライナの地に一日でも早く平穏な訪れるようにと願わずにはいられません。
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