【人物だけじゃない】ベトナム各地の「地名がついた通り」を集めてみたよ

terrace ベトナムの通り名

当ブログでもいろいろと紹介してきたように、ベトナムの通り名は圧倒的に、ベトナムで活躍した歴史的人物の名前が付けられていることが多いです。ただし、通り名の命名にまつわる法令によると(!)意外にも以下のようにそれなりにちゃんとルールが決められていて、歴史的人物以外にも選択肢があることがわかります。

「ベトナムの通り名 命名法令」(91/2005/NĐ-CP政令)第10条:命名の詳細

1.有名で意味深く、国家や地域の象徴的で歴史的・文化的価値を持つ地名。古代より使われ、人々の意識化に深く根付いている地名。その地域と対をなす、または特別な関係を持つ地名。

2.代表的な、政治的・文化的・社会的意味を持つ名詞。

3.歴史的・文化的遺物、文化遺産法によって列記・評価された全国的または局所的な景色の良い地点。

4.革命的な動き、歴史的出来事、特定の国または地域による侵略に対する勝利。

5.外国籍を含む偉人の名前。有名、高潔、有能、国や地域の建設・防衛に多大な功績を残す、国家に特別な貢献をもたらす、国の活動(文化・芸術・科学・工業・国家間友好の開拓)に多大な貢献を働く、人々に尊敬・認識される、といった偉人でなければならない。

今回は、上記のうち実は見過ごされがちな1 & 3、つまり地名や地点の名前がついた通りを見ていこうと思います。しかし景色の良い地点て。

全国的にみられる「地名のついた通り」

ディエンビエンフー(Điện Biên Phủ/奠邊府)通り

ベトナムでいちばん西端にあるディエンビエン省の省都、ディエンビエンフー。市の端から10kmもすればラオスとの国境で、タイ系やラオス系であるタイ族が住民の多くを占める街です。1954年に同地で北ベトナム軍が歴史的勝利を飾った「ディエンビエンフーの戦い」はフランス撤退を決定づけ、そのインパクトはあまりに大きく、ディエンビエンフーの名前は全国各地の重要な通りにつけられています。ずっとディエンビエンフーさんって人がいるんだと思ってた。。

バクダン(Bạch Đằng/白藤)通り

こちらも全国的に見られる通りです。バクダンとはハイフォンの北の方を流れるバクダン江(Bạch Đằn Giang/白藤江)を指し、中国(南漢軍)を破ったゴー・クエン(Ngô Quyền/呉権)や、モンゴル(元軍)を撃退したチャン・フン・ダオ(Trần Hưng Đạo/陳興道)などが戦いを繰り広げ、ともに大勝利に沸いた場所として有名です。また、チャン・フン・ダオが本拠を置いたハイズン省のヴァンキエップ(Vạn Kiếp)も、主にハノイとホーチミンにそれぞれ複数にその名の通りがあります。

タンロン(Thăng Long/昇龍)通り

言わずと知れた、ハノイの旧名。市内では西へと続くタンロン街道やタンロン橋があるほか、ホーチミンやダナン、ゲアン省にもタンロン通りがあります。やっぱり何度見返しても、ハノイ(河内)よりタンロン(昇龍)のほうがカッコイイ。2010年の時点で、首都ハノイ生誕1000周年を記念してタンロンに戻した方がよかったんじゃない…?

チュオンサ(Trường Sa/長沙)通り、ホアンサ(Hoàng Sa/黃沙)通り

前者は南沙諸島やスプラトリー諸島、後者は西沙諸島やパラセル諸島と呼ばれる島群で、どちらも南シナ海のビミョ~~な場所に位置しているため複数の国が領有を主張している非常に厄介な島々です。

見るからにややこしい位置に浮かぶ島々

西沙諸島はベトナムや台湾が領有権を訴えているものの、既に中国が実効支配してしまっています。かつては南ベトナムがその一部を占領したものの、ベトナム戦争中に中国に奪われて以来返してもらえない状況が継続。

南沙諸島はベトナムのほか中国、台湾、フィリピン、マレーシア、ブルネイとじつに6か国(地域)の争奪戦状態。これに関しては中国、オマエはどう見てもムリだろと思うのですが、西沙が俺のもんだからそこに近い南沙の俺のもん、ということでしょうかね。ジャイアン怖い。

このふたつの通りに立つビルには、これらの国々の企業やその国々と深い関係にある企業はオフィスを置きづらいんだろうなぁ。。とても住所に書けない。

局所的にみられる「地名のついた通り」

フエ(Huế/化)通り

ベトナム最後の王朝、阮朝が首都を置いたフエにちなんでつけられた通り。ハノイのわりと中心部にあり、珍しい一単語の通り名なので見かけて「あっ」と思う人も多いはず。1890年には既にフエ通り(route de Hué)になっており、途中ズイタン(Duy Tân/維新)通りに変更されたものの再度フエ通りに戻っています。

ホアルー(Hoa Lư/華閭)通り

丁朝と前黎朝時代に首都が置かれた古都ホアルーにちなんだ通り。こちらもフエ通りと同じくハノイ・ハイバーチュン区にあります。

ドンナイ(Đồng Nai/同狔)通り、トゥーザウモット(Thủ Dầu Một/守油蔑)通り

前者はホーチミンの東隣に位置するドンナイ省および、その由来となったドンナイ川にちなんでいて、ホーチミンにあります。後者はなんと棚田と少数民族で有名なサパに突如出現。なぜ?!

珍しくて思わず撮影@サパ。この記事を書くきっかけになった一枚

コーロア(Cổ Loa/古螺)通り、バッチャン(Bát Tràng/鉢塲)通り

いずれもハノイ郊外にある同名の地域内を走る通り。前者は紀元前の甌貉(Âu Lạc)国の都、後者はバッチャン焼という陶磁器を生産する村として知られています。

特定の場所の名前がついた通り

ホアンキエム湖(Hồ Hoàn Kiếm/湖還劍)通り

まさしくホアンキエム湖至近にあります。同様に、湖や川の名前を表す通り多数。

文廟(Văn miếu)通り、チョロン(Chợ Lớn)通り、ニャートー(Nhà thơ)通り

文廟通りは文字通り文廟のすぐ脇を通りますが、チョロン通りはチョロンからはちょろっと外れたところにあります。ニャートーは教会のこと。ハノイ大教会に突き当たる通りをはじめ、全国各地の教会近くにわりと多い通り名です。

ファンシーパン(Phan Si Păng)通り、バック滝(Thác Bạc)通り

ご当地通り。インドシナ最高峰のファンシーパン山と、その登山口近くにあるバック滝からとった名前の通りがサパ中心部にあります。

それから、本記事にはまったくもって関係ないのですが、ファンシーパン通りから分岐する道がバイオレット通り(もしくはスミレ通り)ととてもステキだったのでこちらも思わずカメラを向けてしまいました。はい、今回の記事はつまり僕はテト休み中にサパに行ってきたよ、という話でした。

参考資料・画像引用元

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