いや〜しかし出張者が多い。先日は東京・バンコク・ホーチミンから総勢16名がバラバラにやってきてバラバラに帰っていくという鬼の行程を組まれて、現地メンバー含めて瞬間最大風速で13名を同時に異なる目的地へアテンドするというスクランブルに見舞われました。東京で深刻化するコロナ事情も加わり車は常に二手以上に分かれ、レストランも違うテーブル(部屋)を用意、急な予定変更で急遽車を追加で用意し時にはピストン輸送を行うなど、コーディネーターとしてなかなか鍛えられた回となりました。なんだかんだ楽しかった。
さて。今回の話は出張する側の話ですね。初めて海外出張を経験して数回のうちは見るもの聞くもの何をするにも新鮮で、海外に行けただけでおトクな感覚があるかもしれません。ところがだんだん小慣れてくると長距離移動は面倒だし事前の手配は大変だしということで、ちょっとは経済的なメリットが欲しいよと思ってくるのが人の性であります。
結論から申し上げると、「利用するサービス(会社)を絞って浮気をせずに上級会員を目指しましょう」という話です。なんかまんまと企業の顧客囲い込み戦略に踊らされているような感じですが、顧客側にも確実なメリットがありどちらかというとWin-Winの関係であると思います。金銭的なベネフィットも大きく、なかなか侮れませんよ。
典型例はフライトとホテルです。フライトのマイレージの仕組みはごく当たり前のことしか語ってないので読み飛ばしていただいて構わないです。ホテルは案外盲点だったりもするので、取り組んでない方はちょっと覗いてみてくださいな。基本的にはある程度自分で出張の手配ができる(またはしなければならない)人向けになります。例えば僕の勤めている会社は出張者自らが直接手配をしてはいけないルールになっており、マイルはともかくホテルの優遇は基本受けられないようになっています。
フライト: JAL or ANAの選択は必須
さすがに知っとるやろと思うので、多くは語らずごく簡単に。
出張族の基本中の基本として、まずは航空会社を固定してマイルを効果的に貯めていきましょう。マイレージは数あるポイントプログラムの中でも非常に汎用性が高く、「貯めやすく使いやすい」のが大きなメリットです。飛行機に乗ってマイルを貯め、特典航空券としてタダでまた飛行機に乗る、という使い方がベースにはなりますが、日々の買い物の中で貯まる諸々のポイントの集約や逆に他のポイントへの交換も容易にできます。つまり、日頃の生活で貯めたポイントをマイルに集約させてお得に旅行に使ってもいいし、プライベートでほとんど飛行機に乗らない人は出張で貯めたマイルを買い物や外食に使って生活の足しにすることもできるわけです。日本↔︎ベトナムであれば1回の往復で数千円相当のマイルが貯まり、手間の割にリターンが大きいのでどんな面倒くさがり屋さんでも会員登録は必須です。
またフライトを重ねていくと会員としてのステータスが上がり、上級会員になるとフライト周りの煩雑さが劇的に快適になります。チェックインや保安検査、機内への搭乗の際に待つ大幅に時間が少なくなったり、空港のラウンジが使えるようになったり、場合によっては座席のアップグレードをしてもらえたりするようになります。付与されるマイルも多くなります。ということで極力使う航空会社は固定してしまって、より高いステータスを狙っていくのが王道です。
個人的な実績としては、貯めたマイルを使って一家でハワイやグアム、日本国内などに飛んだり、両親に成田↔︎ハノイのビジネスクラスをプレゼントしてみたり、ビジネスクラスに無料でアップグレードされたこともかなりの回数あります(ファーストクラスへの無料アップグレードも一度だけありました)。
世の中には「マイル修行」を行う「修行僧」と呼ばれる人たちも一定数いるほど、上級会員の破壊力は絶大です。とりわけ国内2社は専用のクレジットカードをつくると一定のステータスが半永久的に保証される仕組みがあり、マイラーにとって世界的にも恵まれた環境にあります。
日本在住の場合、よほどの事情がない限りはJALかANAの2択になります。ベトナムとの往復や国内移動だけを考えれば、2社の使い勝手やサービスに大きな差はなく、好みで選んでしまっても大きな問題はないです。他の国への出張もそれなりにある人は、よく行く国の航空会社が加盟しているアライアンスに属している方を選ぶとベターです。タイやシンガポールにも行くことが多ければスターアライアンスのANA、マレーシアやオーストラリアが多ければワンワールドのJALといった具合です。個人的にはそもそもの加盟会社が多く(スターアライアンス26社、ワンワールド14社)、上記のタイやシンガポール、インドに行く機会が多かったこともあり長年ANAを利用しています。
ベトナムへの出張が多い、ベトナム国内間の出張も多いという人はベトナム航空への集約も理屈上は考えられますが、同社のマイルは日本人にとって本邦2社に比べると格段に使い勝手が悪く、せっかくマイルを貯めても有効に使うことが困難なのであまりオススメしません。同社の所属するアライアンスであるスカイチームも、日本の航空会社が所属していないためなかなか活用しづらいアライアンスになっています。JAL/ANAが嫌い、ベトナムとインドネシア内での出張が死ぬほど多いという特殊な方以外は素直にJALかANAへの集約が現実的だと思います。
先に述べた通り、マイレージプログラムはクレジットカードとの親和性が非常に高く、出張者や海外駐在員で航空系のクレジットカードをメインカードとして使っている人はとても多いです。航空券の購入にはマイルが上乗せされて、ちょっと離れた目的地へのビジネスクラスを複数人分手配しただけでその上乗せ分は万単位になります。僕自身クレカは大好きな分野でこのネタだけで永遠に記事を書き続けられるのですが、その手の情報はたくさん世に出てるのでここでは割愛します。なかなか奥が深いっすよ。
一点その界隈でマイナーな話をしておくと、ベトナム航空メインの人があえてクレジットカードを持つなら、ベトナム航空のベトナムエアラインズカードより同じスカイチームに属するデルタ航空のデルタ スカイマイル アメリカン・エクスプレス・ゴールドカードの方が良さそうです。止まらなくなってしまうので以下略。
ホテル: ベトナム出張ならアコーが突出して使える
世界的なホテルチェーン各社もマイレージと似たような会員システムを導入しています。宿泊実績を積み上げて上級会員になると、朝食が無料になったりチェックアウトの時間を延ばしてもらえたり大きな部屋にアップグレードしてもらえたりするようになります。出張が長期になればなるほど、ホテルの快適性は疲労の蓄積に大きく響いてくるものです。「ホテルなんて帰って寝るだけ」と侮るなかれ、「自分の家以外で寝る」というストレスは案外無視できません。
宿泊料もフライトと並んでそれなりにかさむため、次の宿泊などに使えるポイントの付与もかなり大きなものになります(そして会員ランクが上がるほど貯まりやすくなります)。出張で貯めたポイントをプライベートの国内旅行に使うこともでき、僕も過去には「家族で沖縄にマイルで飛び、ポイントでホテルに泊まる」というごっつぁん旅行も経験したことがあります。そのときには上級会員のベネフィットも当然ついてきます。
日本国内でよく知られている世界的なホテルチェーンとしては、ヒルトンやコンラッドで知られるヒルトン・ホテルズ&リゾーツ、旧spgアメックス(現マリオットボンヴォイ アメックス)で一世を風靡したマリオット・インターナショナル、ほかインターコンチネンタルやハイアットあたりでしょうかね。
その中でベトナム出張にあたっての僕のオススメはダントツで「アコー・ホテルズ」です。フランス系の資本で、グローバルでの総客室数は75万室を超え世界6位の一大ホテルチェーンです。本拠のヨーロッパのほか、アジア各国にかなりのホテルを展開しています。一方日本では最近プルマンが進出したりフェアモントの初上陸が発表されたりと少しずつ存在感を見せ始めているものの、正直影の薄い存在なのが実情です。
ベトナムでも他のホテルチェーンに比べて突出して軒数が多い!出張先としてメジャーなホーチミンやハノイ、ハイフォンに加え、リゾート地のダナン(は出張でも行くか)やフーコック、ニャチャンなどおよそ日本人が足を運ぶ都市のほとんどをカバーしています。そして何より使い勝手がいいのは、ラグジュアリークラスからバジェットクラスまであらゆるランクを取り揃えているところで、自分だけの気楽な出張から役員に同席してのハイクラスな出張まで対応しています。例えばハノイであればこんなラインナップ。
最上級(Luxury) | Sofitel Legend Metropole Hanoi |
上級(Premium) | Hotel de l’Opera Hanoi – MGallery |
Pullman Hanoi | |
Mövenpick Hotel Hanoi | |
Grand Mercure Hanoi(まもなくオープンとのこと) | |
中級(Midscale) | Novotel Hanoi Thai Ha |
Novotel Suites Hanoi | |
Mercure Hanoi la Gare |
ホーチミンだと加えてバジェットタイプ(Economy)のイビスまで取り扱っており幅広いTPOに合わせることができます。とにかく使い勝手が良い(2度目)。
最上級(Luxury) | Sofitel Saigon Plaza |
上級(Premium) | Hôtel des Arts Saigon – MGallery |
Pullman Saigon Centre | |
中級(Midscale) | Novotel Saigon Centre |
バジェット(Economy) | ibis Saigon South |
ibis Saigon Airport |
僕の場合はかつて出張で積み上げたステータスとポイントを駆使してプライベートでサパのMギャラリーに泊まったり、ホーチミンのノボテルでスイートルームにアップグレードしてもらったりしています。このあたりのベネフィットであったりキャッシュバックを受けられるおトクな予約の仕方であったりはこれまた長くなりそうなので、別の記事にまとめようかと思います。
ホテルはフライトと違ってなかなか集約するのが難しく、上級会員のハードルも相応に高くて一般的には手が届きにくいのですが、ベトナム出張が多い人はけっこうチャンスだと思います。そこにばかり固執して交通の便の悪いホテルを選んでしまってはまさしく企業側に躍らされてしまうことになるものの、そうであってもまたアコーを選んでしまうくらい、上級会員のメリットの破壊力は大きいものがあります。
日本ではやや存在感の薄いアコーですが、逆に考えると国内に上級会員の数もかなり少ないと思われ、他のホテルチェーンが上級会員だらけでなかなか部屋のアップグレードが望めない飽和状態に陥っている中ではアコーはずいぶんとその恩恵にあずかる確率が高いように思います。
ちなみに世界一のホテルチェーン・マリオットはベトナムではJWマリオットやシェラトンなどの高価格帯がメインであまり若手の出張には向いてません。ハイアットはそもそもがハイクラスのラインナップ(そして数が少ない)、インターコンチネンタルはややリゾート寄り。ヒルトンはベトナムでは圧倒的に数が少ない。タイ(バンコク)やシンガポールだと各社よりどり揃っていて選択に迷ってしまいますが、ベトナムでチェーンを固めるならアコー一択と言ってしまってよいでしょう。サービスアパートにショートステイする派の人は基本的にポイントシステムにはそぐわないものの、高級路線でアスコット(サマセット、シタディーンズなど)という選択肢もあるにはあります。
注意点として、ホテルチェーンの宿泊実績を積む際にはほとんどの場合、そのチェーンの公式サイトから直接予約をする必要があります。ホテルは旅行代理店やエクスペディア・アゴダなどの予約サイトにかなりの手数料を支払っており、それらを経由してくる顧客は上級会員としておもてなしをする対象ではないのです。ホテルの公式サイトはいわゆる「ベストレート保証」という、予約サイトなどより高い場合にはその金額以下にすることを保証しているケースも多く、実際だいたいの場合は公式サイトのほうが安いです。ホテルと法人契約をしている場合も対象外になる可能性がありますのでご注意ください。
個人的な感覚として近年日系企業のホテル予算はだんだん下がってきており、中にはローカルのホテルしか泊まれないという人もいるかもしれません。そういう人であっても定宿を決めておくとそのうち従業員に顔を覚えられていろいろ融通を利かせてもらえたり、ちょっとしたサービスをしてもらえたりすることはあるので、宿泊先を固定するのはそれなりのメリットがあります。もちろん最初のうちは色々なホテルを体験したほうがいろいろ勉強になりますし、何より自分のベストホテルに出会うまでにはいくつかのホテルを渡り歩く必要がありますね。
おわりに
フライトやホテルの集約・上級会員への道はゲームのレベルアップのような中毒性があり、ある意味出張のひとつの楽しみにもなりえます。出費額の大きさから経済的メリットも大きく、ハマるとけっこう抜け出せなくなるのでやりすぎにはご注意を。同行者や出張先の駐在員による受け入れがある場合などは特に、自らのベネフィットだけを考えた自分勝手な出張計画は慎みましょう。
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