前々から考えていた、ベトナムへの個人での投資についに着手しました。
ベトナムとの付き合いが始まってから早10年。国が成長するさまをこの目で間近に見ていながら、何も行動を起こしてこなかったせいで、その恩恵を被ることなく今に至っています。古いベトナム人の友人たちはこの10年の経済成長にしっかり乗って、不動産投資などで財を成したり自ら会社を起こしたり、会社で出世して順調に収入を上げていったりして、気付けば日本人の僕だけすっかり取り残されてしまいました。
2016年に帰任後、縁あって2020年ふたたびベトナムに駐在することに。今回の駐在生活ではせめて周りのベトナム人に遅れをとることのないよう、いくらかでも自分で投資をしたいと考えていました。本当は不動産(特に土地)にどんっと投資をするのが今のこの国の発展段階ではいちばんいいのでしょうが、外国人ではレバレッジもかけづらく、何よりそこまでの度胸がない。。ということで、まずベトナム株 & REITへの投資から始めていくことにしました。
今回はその下準備にあたる、証券口座と投資用銀行口座を開設した話を書いていきたいと思います。詳しい手順を紹介した記事は他にもあったりするのと、けっこう手続きがコロコロ変わるみたいなので、あくまで雰囲気だけ味わっていただければ幸いです。
書類の準備(12/20~23)
コロナが~、とかロックダウンが~、とか一時帰国が~、とかなんだかんだ自分に言い訳をつくった末、意を決してローカルの証券会社であるSSI証券に連絡したのが昨年末の12月20日。外国人はオンラインの申込みができず、記載されていたメールアドレスに「ハノイに住んでる日本人なんだけど口座開設したい」と英語でメールをしたところ、なんと30分後には流暢な日本語で案内メールが!テンプレートなのでしょうが、感動です。
口座開設書類に必要な個人情報の提供とともに、パスポートとレジデンスカード(外国人がベトナムで居住するためのビザ兼身分証明書)を公証役場に行って公証する必要があるとのこと。残念ながら公証役場の場所を案内する添付ファイルは漏れていたものの、そこはご愛敬。自分で最寄りの公証役場を探して行ってきました。”Văn Phòng Công Chứng”+地名で検索すればけっこうたくさん出てきます。
入口につくなり、外国人だとわかった窓口は「2階!」と言ってくれます。そして上がった先にはコピー機がガシャガシャ音を立てているので、すぐにここだとわかります。コッチ(パスポート)は2部、コッチ(レジデンスカード)は1部と伝えると、わかっとるわと言わんばかりにそれらを受け取り、支払いへと促します。
パスポートは無駄に全ページのコピーを取られたのですごい量になってしまいましたが、コピー代で200円ちょっと、公証代が合わせて170円ほどと非常にリーズナブルでございました。日本だと1部で5,000円とかするのに!コロナで人がそこまで多くなかったというのもありながら、訪問からわずか15分で公証終了。公証の外注サービスもあるみたいですが、英語が話せなかったとしてもなんの問題もなく自分でできると思います。
SSI証券からは新たに、僕の個人情報が入力されあとはサインするだけの状態の口座開設書類一式がメールで送られてきました。10種類の書類に、何十か所もサインします。ちなみにこの口座開設書類はSSIの窓口に飛び込んで入手することもできますが、その場合にはこの10種類の書類に手書きで個人情報を延々と記入することになり、超絶めんどいことになります。
細かい質問にもテンポよく回答してもらい(しかも日本語。なんてラクなんだ)、公証したパスポート&レジデンスカードと口座開設書類を合わせて、長編小説のような郵送書類ができあがりました(写真撮っとけばよかった)。こちらをホーチミンのSSI証券に郵送し、あとは専用の銀行口座をつくりにいきます。
ここまではよかった…。
BIDVで口座開設、たらい回しに遭う(12/28)
ベトナムで株式の取引を行うには、銀行の間接投資口座を通して行う必要があります。SSI証券の指定するBIDV(ベトナム投資開発銀行)の場合、間接投資口座はSSIが用意する書類(前出)にサインすればあとはSSI経由で開設できるのですが、同時に開設が必要となる普通口座は自分で開設する必要があるとのこと。この辺、先人たちの体験記では間接投資口座も自分で開設しなきゃいけなかったり、逆に普通口座の開設を求められなかったりといろんなパターンがあるようです。担当者によりけりなのでしょう。いかにもベトナムっぽいです。
ということで担当者の指示に従い、仕事納めの12月28日、お昼休みを使って普通口座の開設に行きます。目指すはBIDVの本店。SSI証券の口座開設のために普通口座を開きたいと告げると、外国人はここではやってない、証券口座専用の支店が近くにあるからそっちに行けとまるで相手にしてくれません。目的は証券口座開設だけど、いま開設したいのは普通口座だからと言ってもとりつく島なし。。普通口座の開設ができないワケがないのですが、さすがは国営銀行。結局面倒なことは極力やりたくないのです。幸い支店は車で数分のところにあったため、これ以上ムダな争いは避けて支店に向かいます。
近くの支店はひっそりとしていました。というのも、支店でコロナのクラスターが発生したらしく、顧客の姿はおろか行員すらまったくいない状態。SSI証券担当の行員もいなかったのですが、他の証券会社担当の方が丁寧に対応してくれ、なんとかその場で開設することができました。
…銀行口座開設はなんかイヤな予感がしたのでベトナム人の同僚に付き添ってもらったのですが、見事に予想通り。公証のときとは打ってかわって、ベトナム語の話せない外国人がひとりで立ち向かうのはなかなか大変だと思いました。HSBCとかStandard Charteredとかの外資銀行はもちろん、Vietcombankなどの民間銀行なら英語が話せれば問題なく開設できるはずですが、国営はあかん国営は。外国人はあっちへ行けと指定された支店ですら、英語がじぇんじぇん通じませんでした。
とにかく、口座開設の報告とともに書類一式を発送したことをSSIの担当者に連絡。翌日には無事書類が到着した、しばらくお待ちくださいとの連絡が入ります。
何の進展もないまま旧正月を迎える
書類がSSIに到着してから3週間ほどで証券口座が開設されるということで、新暦は元日しか休みがないベトナムだったらさすがに旧正月休み(今年は1月29日から)には取引ができるようになるだろうと淡い期待を抱いて待つこと1か月。見事に何の知らせもないまま旧正月休みに突入しました。ベトナムはこういう手続きが往々にして伝えられるよりも長くかかるのですが、ごくたまに予定よりもだいぶ早く仕上がって逆にこちらが準備できていなかったりと、どちらのパターンでもストレスを感じることになります。要するに担当者の当たりはずれが大きいということなのかと思います。
旧正月明け10日後にようやく開設完了(2/16)
9日間の旧正月休みを経て、休みボケもなくなり証券口座のことなど忘れかけていたころ、ようやく口座開設完了の知らせが。おじさん日本人だから、「長い間お待ちいただきありがとうございます」的な枕詞ほしいな。日本以外で誰がそんなこと言うかボケ、と思いがちですが、ベトナムでもまともな人はちゃんと言ってくれます。少ないですけどね…。
なお、この2月に新規で開設された証券口座は21万口超。2月末時点での国内の証券口座数は470万口(人口比4.8%)に達したとのこと。これからも伸びそうな感じです。
今回の口座開設については、一部某国営銀行の職務放棄やベトナム特有の時間の流れ方は感じられたものの、全体的には概ねスムーズではあったかと思います。逆に外資系銀行なのになんでこんなに対応悪いの、と日々思わされている件についてはまた書きたいなと考えています。
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